「知っといてぇや」〜今こそ、高次脳機能障害のことを知ろう〜5-32

歌手の西城秀樹さんの訃報に愕然となった先週。脳梗塞を発症してから、社会復帰をめざして過酷なリハビリ生活が続いたそうです。今まで当たり前にできたことができなくなる、そんな高次脳機能障害について書かれた本を読みました。

こんにちは

マナビツナグヒトのみこりんです。

ミッションは、「世の中に子どもの笑顔を増やすこと」です。

歌手の西城秀樹さんの訃報に愕然となった先週。

脳梗塞を発症してから、

社会復帰をめざして過酷なリハビリ生活が続いたそうです。

身体の麻痺に加えて、言葉の麻痺もあるそうです。

西城さんは、「死にたくなるほど辛い」とおっしゃっていたそうですが、

それはリハビリの強度ではなく、

今まで当たり前にできたことができないという辛さだということでした。

高次脳機能障害、最近耳にするようになった脳の障害です。

どんな障害なのか知りたくてこの本を読みました。

「知っといてぇや これが高次脳機能障害やで!」
by下川眞一・Reジョブ大阪

「知っといてぇや」

本書は、高次脳機能障害者である著者が、

リハビリ過程で出会った言語聴覚士に手記を見せたことがきっかけとなり、

クラウドファンディングにより物理的・人的な支援を得て

出版に至ったものだそうです。

そのせいでしょうか、

ひどく読みにくい文章であったり、

当事者は支援者の生の声がふんだんに盛り込まれたりと、

押しの強いほんという印象を受けました。

大きく分けて、

⑴高次脳機能障害について

⑵高次脳機能障害者の家族について

⑶高次脳機能障害者の社会復帰について書かれています。

下川さんご本人の手記を生かし、

それに見出しをつけ、言語聴覚士からの解説を添えることで、

当事者の実情と医療的視点との両方から

高次脳機能障害について知ることができる構成になっています。

特に、手記は手直しをしていないとのことで、

何を書こうとした文章なのか、

非常に読みづらいです。

その分、細かいことはわからなくても、

ご本人の思いや現状が、より強く伝わってくるように思います。

特に印象に残ったこと

本書を読んで特に印象に残ったことは次の2点です。

何度でも何度でも・・・

下川さんは、脳出血で倒れられてから、

治療とリハビリに熱心に取り組み、

社会復帰をめざしていました。

しかし、仕事をすることを止められたり、

てんかん発作で入院したりと、

何度も何度もその願いを邪魔するかのような出来事に

見舞われます。

うつ病を発症したこともあるそうです。

それでも、下川さんの手記からは、

社会復帰に向けた熱い思いとリハビリを続ける努力が

伝わってきます。

病気で倒れてから約7年半、

「働きたい」という思いと、

「家族を幸せにしたい」という思いの強さに、

胸が熱くなりました。

個性は失われない

高次脳機能障害を負った方々は、

その障害により、以前とは別人のようになってしまった、

と思われる言動があるそうです。

脳の損傷を受けた部位により、

身体的な症状に加え、感情面でも影響が出るのだそうです。

中には性格まで変わってしまう方もいらっしゃるとか。

でも、下川さんの事例からは、

個性は失われないという言葉がありました。

病に倒れる前の下川さんは、会社の経営者でした。

現在でも

新聞をよく読むし、株価にも詳しい、というように

社会的なことへの関心が高いそうです。

経営者として培ってきた個性は、

心や身体の隅々に生きていることを感じます。

手記を認められてからは、

高次脳機能障害についての認知を高めようと、

支援団体の方の力を借りながら

生き生きと活動しているとのことです。

ここに、社会復帰の意義を見ることができます。

治療が完了して終わりではなく、

本来の仕事や役割を果たせないまでも、

何らかの形で社会につなげていくことが、

求められているのだということなのです。

回復するまではリハビリが、

社会に出たら社会が、

両輪のように支えることで当事者の社会復帰をめざすことが

重要だということでした。

父のこと

私の父は、私が子どもの頃、脳血栓という病で亡くなりました。

当時は、それなりに苦労をしました。

しかし、本書を読むと、

もし命を永らえたら、違う苦労があったのではないか、

とも思えました。

そう思うと、本書に出てくる当事者の方の苦労は、

人ごととは思えません。

本書を読む方には、

もし自分の家族だったら・・・と考えて

読んでいくといいと思います。

きっと、自分のこととして、

当事者や家族の方が置かれている現状を

リアルに感じられると思います。


まとめ

誰もが自分の能力を生かし、自分の夢をかなえられる社会。

それは、私が望む社会でもあります。

性別、環境、そして障害の状況で、

生き方を決められることはあってはなりません。

制度や仕組みが変わるまで時間はかかっても、

一人一人が問題を知り、その解決のためにできることを

していくことが大切だと思います。

読んでくださりありがとうございました。

「知っといてぇや これが高次脳機能障害やで!」
by下川眞一・Reジョブ大阪

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この記事を書いた人

みこりん