「ブラック部活動」by内田良〜部活動の問題とその改善に向けて〜

こんにちは

マナビツナグヒトのみこりんです。

気になっていたこの本を読みました。

「ブラック部活動」by内田良(TOYOKAN)

表紙も黒いし、タイトルもブラックだし、

読む前からとっても気が重かった。

多分、部活動や学校文化を全否定しているんだろうなあと思いました。

なにせ、学校に関しては様々ニュースは出るけど、

何かあると学校に問題あり・・・と言われることが多いので。

だから、はじめに(P12)に書かれている文章を見てちょっと意外でした。

今ある問題を改善することで、部活動をよりよいものにしていくこと、
それが本書の目的である。

そして、読了後は、

現場の声や科学的根拠を背景に、部活動の問題をあぶり出し、

その原因を見える化するとともに、改善の手だてを示した

画期的な書籍であると、始めの印象がいっぺんに変わりました。

読前読後の差がこれだけ大きいのはなぜか?

それは、現場の教師や子どもたちに寄り添いながら、

ほぼブラックボックスと化している部活動の問題点を

明確な視点により浮かび上がらせ、

改善への道筋を描いているところにあると思います。

グレーゾーンな部活動

部活動は、教育課程外の活動で、学習指導要領の正規の課程の中には位置づけられていません。

これを知っている方は案外少ない。

教育課程外の児童生徒の自主的自発的な参加によるものとして

書かれているのです。

とはいえ、活動を行う主体は学校ですから、

学校教育の管理下にはあるといえます。

法の規定のないものなので、各自治体や学校に任される部分が多く、

グレーゾーンに位置すると著者は説明しています。

だから、職務とは言い切れないけど、

子どもの教育に関わることだからやるしかないよね、、、と

曖昧な共通理解の基、進められていることが多いのです。

何とも、うまい言い方であると思います。

自主性が生み出す暗黒面

部活動は、自主・自発的な活動と先に書きました。

それが却って問題を生み出していることを著者は指摘しています。

主なものとして、

◯加熱する

やればやるだけの成果が出るし、それが意欲にもつながる。

評価にも影響がある。

だから、歯止めが利かなくなるまで暴走することもあるということです。

◯強制される

生徒が強制的に入部させられる。

地域によっては必ず全員加入というところもあるらしい。

指導は教職員の職務外の義務となっている。

このことが、長時間勤務や素人顧問の指導による問題へと派生していくのです。

◯体罰や事故の発生

明確な規定がない、活動を監査する仕組みがないということから、

過剰な指導や非常識な指導の事例が起きる。

その最たるものとして、上がってくるのが体罰と事故なのだそうです。

課題と展望

第9章が「未来展望図」と題した改善への提案となっています。

その中に興味深い言葉が2つありました。

1つは「居場所」、もう1つは「総量規制」です。

「居場所」とは、「機会保障」とここでは捉えています。

即ち、放課後に授業以外の活動として、付加的なかたちで、

スポーツや文化活動の機会が、生徒に低額で提供されることを指しています。

生徒の自主により参加も選択することができ、

幅広い子どもたちに運動や文化の体験をする機会を提供できるということのようです。

「総量規制」とは、部活動の活動量を総合的に減らすことを言います。

具体的には、活動日数や活動時間を減らすことで、

徹底して部活動をスリム化すると言うことのようです。

この2点に基づき、部活動改革を進めていくと、

運営主体も学校だけに限らず、地域人材や団体の運営が可能になることも

示唆しています。

とはいえ、これらを進めていくためには、

制度を確実に設計する必要があるし、地域にそれだけのゆとりがあるのか、

学校教育への効果が薄れることという懸念等々、

実現に向けては更に調査や擦り合わせが必要になってくると思われます。

感想〜経験も交えて〜

現在の部活動のよさを残しつつ、問題点を根本から変えていくことは、

実際には相当困難だろうと現場にいると思えます。

拙速な取り組みは大きな弊害を生むことは目に見えています。

現に、ちょっといやなことも近辺に起きています。

私自身は教員生活の中で、数多くの部活動顧問を経験してきました。

打ち込んだものもあるし、そこそこの力で関わったものもあります。

でも、部活動が大変だからといって、授業や学級経営を疎かにしたことは

一度もありません。

小学校だからと言うのもありますが、

部活動は、児童のよりよい成長のために必要なものという認識で

指導に当たっていたからだと思います。

だから、部活動で才能を発揮する子はそこを活かしながら、

学習や学級活動にも力を伸ばせるように心がけてきました。

部活動のせいで、他の指導が疎かになるのなら、やるべきではないと思っていました。

偉そうに聞こえるかもしれませんが、

私の周りのほとんどの先生はそういう方が多かったです。

マニアックな方もいらっしゃいましたが、

何よりも授業や児童との関わりを大事にしていた方達ばかりです。

だから、「ブラック部活動」という言葉には本音では抵抗があります。

但し、「ブラック」と言われるだけの問題や、その原因も本書を読み理解できたので、

私も私なりに、職場では「ブラック」ではない部活動になるよう、

努めたいと思います。

「部活動」を切り口に、学校教育がよい方向へ変わっていくのなら、

それは願ってもいないことです。

繰り返しますが、児童生徒のよりよい成長のための教育活動として、

「部活動」の改革の行く末を見ていきたいものです。

読んでくださりありがとうございました。