こんにちは
マナビツナグヒトのみこりんです。
先日、先読みした本書についてショート記事を書きました。
本書に対し、気になるキーワードは「謙虚さ」ということ。
なぜ、コンサルティングに『謙虚さ』が必要なのか、
という問いを持ち読みました。
主に3つのことが印象に残ったのでそのことについて書いていきます。
複雑で厄介な問題に対して効果的なのはレベル2の関係
未来・現実に存在する複雑で厄介な問題には、今まで通りのフレームに沿った支援では
改善できないことが多い。
というのも、一番の問題は、クライアント自身が問題を正しく把握していないため、
なにが課題なのか、どういう解決が適切なのかを見極められないことにあります。
著者は、「本当の支援」とは、クライアントにとって真の助けになること。
その支援は、コンサルタントの手助けによって、クライアントが問題となっている状況の複雑さと厄介さを理解し、
その場しのぎの対応や反射的な行動をやめられるようにすること。
加えて、適切なアダプティブ・ムーブを展開し、本当の現実に対処できるようにすることなのです。
そのためには、コンサルタントとクライアントの両者の間に、確かな信頼関係を築くことが大切です。
これがあって初めて、双方の本心や本当の問題や、抱えている懸念を浮かび上がらせることができます。
この関係をレベル2と著者はよんでいます。
レベル1はほどほどの距離感を持った専門的かつ一般的に適切であると見なされるアドバイスをする関係。
レベル3になるとより個人的な問題に踏み込んだ関係。
レベル2の関係では、双方の課題に焦点を当て、信頼できる関係の中で率直に対話することで、
共同作業において何らかの取り組みを行い状況の改善を図っていくことができるのです。
人間関係を築くことは姿勢作りから始まります。
謙虚なコンサルティングの姿勢で重要なのが次の3つのCです。
◯力になりたいという積極的な気持ち(commitment)
◯クライアントに対する思いやり(caring)
◯好奇心(curiosity)
この姿勢を持ちコンサルタントはクライアントに対するのですが、
その際に必要なスキルの一つが聴くことです。
中でも共感的に聴くということが大切です。
すなわち、クライアントが伝えたいと思っている話の中の重要な要素に注意を払って聴くことや、
クライアントがどのように経験し、感じているのかに注意を払って聴くことです。
コンサルタントは、その場の状況によりフォーカスする対象を選択し聴くスキルが求められます。
もう1つ必要なスキルは、質問すること、それも関心を持って問うことです。
質問にも様々な種類がありますが、始めはクライアントの気持ちを楽にする質問がいいそうです。
また、クライアントが話すうちに、役に立つアイディアや考えが浮かんでくることもあります。
対話のプロセスを追い、質問も目的を変えその状況に応じて問いかけていくところに
コンサルタントのスキルが試されると思いました。
聴くこと、問うことにおいて、信頼関係と率直な対応を維持することが大事なので、
先にあげた3つのCによる姿勢が重要となってくるのです。。
そしてこのプロセスを通じ、改善を促すアダプティブムーブが生まれるのです。
アダプティブムーブという言葉を著者は頻繁に使います。
「アダプティブ」とは、状況を改善したり、改善に向けたデータを引き出したりすることを目的とした行動ということ。
「ムーブ」とは、壮大でも大規模でもないが、状況を改善できるの「ちょっとした取り組み」というものです。
本書には、コンサルティングのケースが25出てきますが、
いずれもこのアダプティブムーブを引き出すことにより効果的な支援となっています。
これは即興劇によく似ています。
率直に話をし→確かな人間関係を築き→即興で行動を生み出す
というプロセスです。
そして、この即興劇はコンサルタントとクライアントの共同作業でもあります。
従来の、計画→仕組みづくり(法則・型)→行動
とは違い、
見通しは立たないものの、素早く行動に移れ、効果が出やすいのだそうです。
まとめ
複雑で厄介な問題については、型通りの支援では役に立たない。
そういう場面は多く見てきました。
革新的なアイディア、行動から状況の改善をめざすためにも
信頼関係に基づいた率直なダイヤログから生み出されるアダプティブムーブが
とても重要になってきます。
双方の共同作業を可能にするレベル2(個人的な)の関係づくりは、
「謙虚」な姿勢から始まります。
多様な人と関わり、その課題解決に向け、私自身も謙虚な姿勢作りを
心がけたいと思いました。
感想はほんの一部によるもので、非常に学びが多い本です。
コミュニケーションが仕事の大きな要素となっている方におススメします。
「謙虚なコンサルティング」byエドガー・H・シャイン (英治出版)
読んでくださりありがとうございました。